HEROINE【完】

「私、手をつなぎたかったの!」


どうだ!驚いたか?!なのです。

彼は期待通りに驚いてくれた。


彼の大きな右手がいきなり、
私のバックの紐を握る手を上から覆った。


私はその手に視線を合わせ、
少し顔を反らしていた。


だから、
狙われたのは唇。

でも触れたのは唇の端。


私は目を閉じることもなく、
目を伏せた彼の顔が遠く高く離れて行くのを、

ただ呆然と見ていた。



大勢の人がいるプラットフォーム。

これが、
私と彼のファーストキス。

< 15 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop