HEROINE【完】
「私、手をつなぎたかったの!」
どうだ!驚いたか?!なのです。
彼は期待通りに驚いてくれた。
彼の大きな右手がいきなり、
私のバックの紐を握る手を上から覆った。
私はその手に視線を合わせ、
少し顔を反らしていた。
だから、
狙われたのは唇。
でも触れたのは唇の端。
私は目を閉じることもなく、
目を伏せた彼の顔が遠く高く離れて行くのを、
ただ呆然と見ていた。
大勢の人がいるプラットフォーム。
これが、
私と彼のファーストキス。