HEROINE【完】
「大丈夫!誰も見てない」
突然の行為に固まる私に、
悪戯っぽく彼は笑った。
私が清水の舞台から飛び下りる気持ちで目を伏せた時には、
あなたはキスなんてしなかった。
心の準備が出来ていない時にこれ・・・
「ゆきたん・・・」
人前でキスは平気でも、
その呼ばれ方に彼はまだ慣れない。
口を覆った顔が赤くなった。
発車を告げるベルの音。
彼は人だかりをかき分けて、
扉に駆け込んだ。
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