HEROINE【完】

「大丈夫!誰も見てない」


突然の行為に固まる私に、
悪戯っぽく彼は笑った。


私が清水の舞台から飛び下りる気持ちで目を伏せた時には、
あなたはキスなんてしなかった。



心の準備が出来ていない時にこれ・・・


「ゆきたん・・・」


人前でキスは平気でも、
その呼ばれ方に彼はまだ慣れない。

口を覆った顔が赤くなった。




発車を告げるベルの音。

彼は人だかりをかき分けて、
扉に駆け込んだ。

< 16 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop