HEROINE【完】
それ重たくないの?と聞いたらそう言って笑った。
前に会った時よりも少し髪の伸びたあなたが、
私を見つけて頬を弛ませる。
私は久しぶりのデートに緊張していて、
何から話したら良いのか迷っている。
話したいことはたくさんあるのに、
こうやって目の前にいると何も出てこない。
だから私から最初に出たのはつまらない言葉。
「荷物、どうしたんですか」
「新幹線乗り場のそばに預けてきた。
ギリギリまで一緒にいよう」
でも、彼の返事は私を喜ばせる。
年齢の差分、
絶対的な経験値が違うのか、
それとも・・・
彼は女の子がどういえば喜ぶのか知っているんじゃないかと、
そんなことで不安になる。