HEROINE【完】
この人もきっと・・・
電車に揺られながら、
背の高い彼を仰いだ。
・・・私が変だと、思ってる。
見上げると絶対に目が合う。
私は見上げないと彼の表情はわからないけれど、
彼は私の不安そうな顔も、
またしばらくの別れに寂しそうになって行くのを止められない顔も、
きっとみんな見ている。
だから、
目が合えばこうやってバツが悪そうに目を逸らす。
大きな片手で口を覆うのが、
見られたくない時の彼の癖。