HEROINE【完】
いいじゃん、
自分はいっつもみてるのに!
私は俯いて唇を噛み締める。
「・・・え、何で怒ってんの」
「怒ってないです!」
何ですぐ気付くのよ!
全部見透かされているようで、
子供扱いされているみたいに思えて、
私はますます悲しくなってしまう。
新幹線乗り場に一番近いコインロッカー。
そんなに大きくないスポーツバックを取り出す彼を見ながらも、
私はまだ、拗ねていた。
結局手をつなぐタイミングがわからなかったから。