HEROINE【完】
そんなに口数の多くない彼が、黙る。
1.どうしたら良いのかわからない。
2.無理して会うんじゃなかった。
3.時間はもうないのに、
何怒ってるんだよこの女、
面倒くさい。
私は心の中、
マジックでスケッチブックに1〜3番全部の番号を書いて司会者に向けた。
新幹線乗り場には、
人だかりが出来ていた。
特にグリーン車の扉のところ。
みんな携帯のカメラを向けたり、サインを求めたりしていて忙しそう。
彼と同じく身体の大きな、
みんなが知っている有名人の野球選手たちが、
乗り込む電車がつくのを待っている。
私と彼はその少し後ろで、
立ち止まった。