病茸【短編】
「はい、おわり」

そう言って祖母は髪をとくのをやめた。

私は鏡に自分の長髪を映した。

「うわっ!」

髪全体が白くどろどろとした液体でべったり濡れている。

しかし先ほどまでの痒みは消えていた。

祖母は何も言わずに自分の部屋に戻っていってしまった。

「これ、早く洗わなきゃ!」

私は急いでお風呂に走った。

一階に下りるとリビングには誰もいなかった。

そうだ、母は昨日から友人と旅行に行っていていないんだ。

そう思い出しながら風呂場に急いだ。
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