僕と私のカオスな夏休み
彼女は一度振り返って僕を見た。でもそのまま何も言わずにまた前を向いてしまった。
昨日はよく見えなかったけど、近くで見る彼女はとても美人だった。
垢抜けていて、たぶん僕と同じくらいの年齢だけど、もっと年上に見える。
彼女は何もしゃべらず、ただ足で水をパシャパシャしていた。
僕が何度話しかけても、一端振り返って、何も言わずに前を向いてしまう。
僕は何度か試みた後、諦めて彼女の隣に腰を下ろし、同じように足で水をパシャパシャした。
彼女を見つめながら、足を水につけたままにしていると、いつの間にか空が紅くなり始めていた。
だんだん紅くなる空から目を戻すと隣にいたはずの彼女の姿はなくなっていた。
僕は彼女がほんの数十秒の間に姿を消したことを不思議に思いつつも、夜の沢は怖いので急いで家に帰った。
家に帰ると今度はなんとも豪勢な夕飯が用意されていた。
ローストビーフに、豚の丸焼き、鯛にヒラメ、フルーツもたくさんある。
何が起こったかわからないが、僕は滅多にない食事に舌鼓をうった。
腹一杯食べたら眠くなってきた。
今日はなんだかよくわからない1日だった。
明日こそは彼女と話したいな。
つづく