あーちゃん~最初で最後のニューハーフ~
 さーちゃんの部屋は懐かしさで溢れていた。

まるで高校生の頃にタイムスリップした気分だ。

みーちゃんが「遅れてごめ~ん」とドアを開けて入ってきそうだった。

「あーちゃん?」

私は、慌てて涙を拭き、笑顔を作る。

「なに?」

「座ってよ。」

さーちゃんが床を叩く。

私は、ゆっくり座った。

「やっぱりあーちゃんだね。その座り方。外見はまったくの別人なのに。」

身長が高いことが嫌で私は、膝を抱え、背中を丸めて座る癖がある。

それを見てさーちゃんが笑った。

「元気そうでよかった・・・。」

「メールしてたじゃん。」

「それだけじゃ分からないわよ。声を聞いてたわけじゃないし、顔を見てたわけじゃないし。」

「ああ。」

「写真入りの手紙にはすっごく驚いたのよ。」

さーちゃんがスナック菓子の袋を開ける。
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