コトン、コトン。

麻衣子

それからはじめの半年程は通いで仕事に来ていた麻衣子でしたが、仕事が忙しくなるにつれ、泊まりになることも多くなりました。

僕は自然と麻衣子に言っていました。


「今の家を引き払って、ここに住めばどうだい。」

「え…、でも。」

「もちろん、嫌じゃなければ。
もう少し広いところに越してもいいし…。」


麻衣子は戸惑っていました。

こんなふうに言ってしまって、後から考えるとムードのかけらもありませんが、僕にはその時、こう言うことが至極自然に思われました。


「結婚して欲しい。」
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