コトン、コトン。

「あの、いつも聴いてくださってますよね?お礼が言いたくて…、有難うございます。」


ペコリと頭をさげる彼女を見て、僕の頭は沸騰しました。
赤くなっているだろう顔を夜に隠され、やっとの思いで声を搾り出しました。


「いや…、俺、いいと思ってます。」

彼女は微笑み、小さなチラシを差し出しました。


「わたし、他のお店でも歌ってるんで、もしよかったらホームページ見てみてください!よろしくお願いします!」


またペコリと頭を下げ、彼女は去って行きました。


その日、すぐに彼女のホームページを見たのは言うまでもありません。
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