コトン、コトン。
朝になり、ホテルで朝食を摂りながら、斎藤さんに聞いてみることにした。


「ねぇ斎藤さん、わたし昨日どうしたのかな?」


斎藤さんはサッと青ざめた。


「…どうって…?」

「うん…、なんか色々思い出せなくて。」


斎藤さんは食べる手を休めて言った。


「あの、サチ。申し訳ないんだけど、急な仕事が入ったんだ。来たばかりで大して観光できずに申し訳ないんだけど、今日帰らなければならなくなった。」

「そっか…残念だけど仕方ないよね。わかったよ!」


わたしもなんだかもう帰った方がいいような気がした。

昨晩の女のことも話したかったけど、斎藤さんの青い顔を見てると、言い出せなかった。
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