無重力世界の天使は言った
無重力世界の天使は言った
それなりに幸せ
平和な毎日
普通が一番だと
よくわかってる
多分わたし
同い年の子たちと比べて
素直で
それでいて
どこか冷めている
宇宙とか
とてつもないもの
ぼんやり考えて
わからないけど
なんとなく悩んでる
だんだん
大人になっていけば
世渡りが
うまくなるのかな
今よりたくさん
嘘もつくのかな
パパもママも大好きだけど
複数な事情だって
当たり前にある
大きくなってくると
だんだんわかってくる
パパとママは
きれいなのに
私に一番近い大人は
きれいなのに
大人が嫌いな
わけでもないのに
このままがいいと
思うことがあって
でも現実に戻る
高校は行きたいな
恋だってしたい
わけがわからなくなったとき
決まってそれは真夜中で
喉の奥が熱くなって
心臓の音が静寂に響く
そんなとき
天使は言うんだ
気づいたら住んでいる
意地悪な男の子の天使
私にそっくりな
純粋そうで灰色の天使
真っ白な
無重力の世界で
笑って
決まって、
こう言う。
「バカだな」
人に言われて
嬉しい言葉は
ありがとう とか
色々あるけど
バカだな って
言われると
安心する
こういうのって
きっと人それぞれ
だから私は、
とりあえず生きてみる。
死にたいわけじゃないけど言いたい
生きる。
なんとなく生きてみる
いつか
バカだな って
たくさんの人に
笑ってもらえるように。