紅龍 ―3―
「蘭は―…大丈夫だ。」
もう一度、強く惇は言い切った。
なんたって蘭は俺の妹だ。と言いながら。
…―ふふっ。
そんな惇を笑いながら私は惇の片で目を瞑った。
「なに笑いながら泣いてんだ―…?」
惇が私を心配そうに覗き込む。
そんな私の頬にはいつの間にか涙が流れていた。
「なんでも―…ない。ただ。」
見れば何かあるのは分かるのに私は嘘をつく。
「ただ?」
惇は優しく聞き返した。
「惇はシスコンだなぁ―て。」
「なっ!?」
瞬時に反応を示した惇。
「ふふっ。嘘よ。」
私は意地悪っ子のような笑みを見せた。
…―ごめんね?惇。
今はふざけていないと崩れてしまいそうなの。
「…―少し、疲れたわ。」
本当はそんなに疲れてはいないのだけど。
「…―あぁ。眠るといい。」
何か言いたげ何か顔をする惇。
「…―おやすみなさい。」
でも、気付かないふりをさせて。
「おやすみ。」
…―今は惇から逃げさせて。