紅龍 ―3―
「いっいや、別に。」
私は咄嗟に顔を逸らした。
怖い。
そう思った。
『そう、ですか。』
…―そんな私の気持ちがわかってか、恭平君は笑っていた。
そして、続けてこう口にした。
『楓さんは今日知ったのですか?』
「…?何が。」
恭平君の言っている事がわからず聞き返す。
『椿夜の事ですよ。』
次にそう言った恭平君の声は震え上がるものだった。
…―本気で怖い。
私の体が野性的に恭平君を拒否しる。
こいつは危ないと。