紅龍 ―3―


「蘭。」



すると、晃人の冷静な透き通った声が私に届いた。



龍から晃人に視線を移す。



「晃人?」




すると、晃人は私に口パクで何かを伝えようとしていた。




「さ、あ、き、に、う、い、て────…?はぁ。何言ってんの?」




でも、私に全く分からない。




何言ってんの?




「笹木については知っている。だ。」




すると、私が分からない事が分かったのか恭平が丁寧に解釈してくれた。




“笹木については知っている。”




そういう事か。




もう一度、晃人の口を見ると確かにそう言っている。



< 45 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop