紅龍 ―3―
“分かった”
私も小さく口パクでも、分かった事を晃人に知らせた。
晃人は私の口パクがすぐ分かったらしい、柔らかく頬笑んだ。
ん…─でも、だからってどうする。
龍達が知っている事をいい事に目の前で笹木をヤるか?
流石にそれは私としても避けたい。
あまり、違う奴等に黒桜会の喧嘩を見せたくないから。
例えそれが龍達としても。
…─なら、逆をついて黒桜会の喧嘩を見せなきゃいいってのはどうだろう。
馬鹿らしい考えだけど、それしか今は考えられない。
…─しかたないってか。
「恭平、恭平と私。あと優れた奴10人程度で終わらせるよ。」
「はっ?何言ってる。」
「龍達に黒桜会の喧嘩は見せれない。だから最小限で早めに終わらせる。」
「…─その間、あいつ等はどうする。」
「それは、龍達に任せるよ。見たいなら見ればいい。見たくないなら外に出ればいいでしょ?まぁ、出て行ってくれれば嬉しいけど。…─それより今は龍達じゃないの。笹木、椿夜だよ。」