紅龍 ―3―
ふざけんな。
ふざけんな。
ふざけんなっ!!!
今の私の状況ってなに?
さっきまで恭平と意味分かんない会話してて、
急に龍に連れ攫われて。
それがまた意味分かんなくて。
どこ向かってんの?
なんでそんなに逃げないように強く私の手を握るの?
裏切った私に何のよう?
全て俺たちの仕組んだ事だってなに?
役目ってなに?
分かんない。
なにもかも分からない。
…─私だけ。
私だけわかってない。
「龍。」
「…─。」
「りゅう。」
「なんだ。」
「裏切って…ごめん─…なさい。」
「俺は裏切られたなんて思ってねぇ。そのごめんは俺たちを心配させたごめんにしろ。」
「…─っごめん…。」
この止まらない涙の意味も。
分かんないよ。
龍の暖かい体温を感じながら私は静かに涙を流していた。