紅龍 ―3―
「う"─。」って泣きながらうなずく私を優しく撫でる龍。優しく笑ってくれる運転手さん。
「ちゃんと聞いてやるから。ちゃんと話せよ。」
そう言った龍の手はとっても暖かくて。
それがなんだか私にとって足りなかったものな気がした。
黒桜会二代目になって、ずっと心がおかしくなってたから。
ずっと暖かいなんて思う暇がなかったから。
今思えば私は色のないモノクロの世界にいた。
モノクロに赤が広がる世界にいた。
でも、なんでだろう。
さっきからぽつぽつ色が戻ってる。
黒、白、赤の他に─…
青、黄、緑。
あぁ、私はこんな世界を知っていたんだって。
こんな暖かい世界を知っていたんだって。
そして、そこには“笑顔”の私と“笑顔”の仲間がいたんだ。
「あ"りがどうっ。」
小さくそう呟いた私に
「倉庫着いた。」
笑顔の龍が見えた。