紅龍 ―3―


楓side




「蘭ちゃん―…大丈夫かしら。」




部屋の中、小さく呟く。




私はソファーに全体重をかけて座った。




今日自分のした事に後悔しながら。




「…―やっぱり言うべきじゃなかっ「なに柄にもない事気にしてる。」




「惇―…。」




私の声に惇の声が重なった。




惇の手には2つのコーヒーカップ。たしかクリスマスにお揃いで買ったもの。



かたっと音を立ててそれが目の前のテーブルに置かれるとコーヒーのいい香が鼻に届いた。




「まぁ、飲めや。」




「あ…―ありがとう。」




私の座るソファーの隣に腰掛ける惇を感じながら、私はコーヒーを喉に通した。



< 7 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop