紅龍 ―3―
でも、そんな私の行動も
「蘭。お願いだから逃げんなっ。」
龍の弱々しい声に止められた。
「蘭。」
そう私を呼んだ龍が後ろで動くのがなぜか分かる。
なぜそんな弱々しい声だすんだろう?
なんて思いながら龍の一歩一歩動く気配に神経を向けた。
「蘭。」
そしてちょうど龍が私の後ろぐらいまでたどり着いたのを感じたとき、私は龍に今度は後から抱きしめられた。
私の肩から胸らへんでクロスされた龍の硬そうな腕が目に入る。
…なんだろこれ。
今度は胸が痛い。
締め付けられたみたいに。
私─…
本当に本当に病気かもしんない。
病院行ったほうがいいかもしんない。
「龍─…どうしよう。私「蘭。」
私、病気かもしんない。
胸を押さえながら言ったそんな私の言葉は龍の私を呼ぶ声に消された。
私を呼んだ龍の声はまだ弱々しい。
でも、私は早く帰って病院に行きたい。
病院じゃなくても恭平に相談してもいい。
とにかく早く帰りたい。