紅龍 ―3―
「―――……。」
惇のいれたコーヒーは美味しかった。
甘過ぎず、苦すぎず。
「美味しい。」
「よかった。」
「…―うん。」
でも、そんな美味しいコーヒーを飲んでも私は晴れなかった。
「ねぇ惇?」
そっと隣に座る惇の片に頭を乗せる。
「ん?」
惇は私の頭を優しく撫でた。
「後悔してる。」
「うん。」
「蘭ちゃん、倒れちゃったよ。」
「うん。」
「私のせいだよね。きっとまだそんな時じゃなかったんだよ。」
「―…。」
「恭平君にね、言われたんだ。」
惇は何も言わない。