紅龍 ―3―


「―――……。」




惇のいれたコーヒーは美味しかった。




甘過ぎず、苦すぎず。




「美味しい。」




「よかった。」




「…―うん。」




でも、そんな美味しいコーヒーを飲んでも私は晴れなかった。




「ねぇ惇?」




そっと隣に座る惇の片に頭を乗せる。




「ん?」




惇は私の頭を優しく撫でた。




「後悔してる。」




「うん。」




「蘭ちゃん、倒れちゃったよ。」




「うん。」




「私のせいだよね。きっとまだそんな時じゃなかったんだよ。」




「―…。」




「恭平君にね、言われたんだ。」





惇は何も言わない。




< 8 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop