ホウキボシ
奈々子は“はぁー、、、”と、大げさにため息をついて、
「ねぇだぁりん?聞いてた?今の」
と、竜紀くんの腕にくっついた。
「うんうん。がっかりだ。こんな男だったとは、、、、」
竜紀くんも、頭を押さえた。
そして、二人そろって伊本を“最低ー”と言いたげな目線を送る。
「な、、、仕方ねぇだろ?毎日そう呼んでたら知らねぇよ!」
ちょっと焦りながら言い訳をする伊本。
ちょっとの事で驚かないアタシも、さすがに驚いた。

いやいや、転入生だし、そこは優しく接するべきだ。
だ・け・ど!
一緒に学校に行ってても知らないってのは、どうかと思うけど、、、、
落ち着けアタシ!伊本は転入生!そう転入生!
初日にクラス全員の名前覚えれるほど凄い人はそうそういない!
でも、、、、一ヶ月たって知らないってのも、、、
葉月ちゃんの事を知らなかったんだ!そうだよ、知ってるわけナイナイ!!

アタシは自分自身を落ち着かせるために、“知らないのは普通だ”を繰り返し、
「別にいいよ、知らないこともあるでしょ」
と、落ち着いたフリをした。
奈々子は、
「えぇ、そうかなー?」
と、ブツブツ文句を言いながら靴と上履きを履き替えた。
伊本は少し気まずそうにしていたので、
「何やってんの!遅刻するよ!」
と、気にしていないように接した。
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