ホウキボシ
「あぁ、そうだな」
アイツの返事には、気まずいのが隠しきれておらず、たどたどしかった。
こういう空気、スキじゃないんだけど。
アタシは一回ため息をついて、
「そんなの、気にしなくていいからさぁ、気まずい感じ、出さないでくれない?」
と、歳上ぶって言った。
「あぁ、ゴメン」
でもやっぱり、なんか気にしている感じ。
「だぁから!いちいち謝らなくていいから!」
「はい、すみません」
同じことを繰り返す伊本に少しイラッときて
「だ・か・ら!気にしないで?もうどうでもいいんだから!!」
と、少し怒鳴ってしまい、少し謝ろうと思ったが、格好つけようと乱暴に靴をロッカーに投げ込んだ。
「ぶはっ」
いきなり聞こえた。
「ちょっとー?今笑っていい時じゃないよねぇ?」
「だってさ、さっきは落ち着いてていいかなー。って思ってたら、今度は怒り出すんだもん。」
「だからって、笑っていい時じゃないんじゃない?」
「いいの。福田の機嫌が直れば」
伊本はアタシの頭に手を添えた。
心臓が、狂っている気がする。
いきなり予想もしていなかったことをやられたから、アタシはパニック状態になる。
いきなり少女マンガみたいな仕草を平気でされて、慌てない人はいない。
「い、、、、」
「ま、下の名前分かったし、今日から茉里って呼ぶから」
頭がついて行ってないアタシにとって、展開が早すぎる。
伊本は気付いてはいないようだ。
ここは気付よなー。


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