ホウキボシ
今のアタシの状態に
「おーい、茉里。おいてくぞ?」
と、追い打ちをかける伊本。
必死に
「さ、、先に、行ってて」
と、返事をしたものの、たどたどしかった。
伊本はやっと気付くが、
「分かったー」
と、気付いていないふりをして去っていった。
まっすぐ行くと見える階段を、駆け上がっていく伊本が見えた。
それを見て落ち着いたアタシはまるで片思いをしているみたい。
片思い、、、、、?

はぁー、、、
一回、自分を落ち着かせるようにため息をついた。
そして胸をさすって
「そんな馬鹿みたいな話、あるわけないじゃん」
と、独り言を言って玄関を後にした。


「あ、来た来た、茉里ー」
教室について最初に声をかけてくれたのは奈々子だった。
「何?」
「何?じゃないよ!葉月ちゃんが告白されてるの、見たんだよねー?」
きたきたこの話題。
「また?もういいじゃん。奈々子には彼氏がいるんだから」
こういう話題はスキじゃないから、そらすように彼氏という言葉を強調して言った。
案の定奈々子は
「そうなんだけどー、気になるじゃん。ねぇだぁりん?」
と、竜紀くんに話しかけた。
「そだねー。まぁ、奈々子が浮気しなければいいよ」

< 9 / 11 >

この作品をシェア

pagetop