Tear



「そしたらな一人の女の子がいたんだ。
一人で地面に家族の絵を書いてた」




……
待ってよ…それって…




「俺喋りかけたんだ。何で一人なの?
って。そしたらその女の子は、
パパもママも忙しいからって
泣きながら言うんだ」





あたしはあまりの出来事に硬直していた




「俺その時この子守ってあげたいって思った。
名前が桜井奈々ちゃん。
でもその後お袋と親父が迎えに来て
ホテルに帰った。次の日もその次の日も
その公園に行ったんだ。でもその子
いなくてな…こんな気持ち抱えたまま
東京を離れたんだ」



あたしはまだ硬直したまま




「なぁ?もしかしてあの時の女の子って
お前なんじゃね?」





そうだよ
あたしだよ



って言いたかった…



でも出た言葉は



「そんなの知らない。
そんなあんたの昔話でいちいち
あたしを振り回さないでよ」


と言い放ち公園を出た






何故か素直になれないあたし…
情けない…



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