P-009
「杏珠、よかったじゃん!」

「おう!一緒に食べようぜ!」

ケーキにフォークを突き刺そうとしたその時、

「ちょっとまった!」

と、優衣の声が杏珠の手を止めた。

「なんだよー?」

と口を尖らせる。

「これ」

と、差し出されたのは、手のひらサイズの四角いラッピングされた箱だった。

「たいしたものじゃないんだけど…」

それを受け取ると、少し重みがあった。

「開けていぃか?」

と聞くと、優衣はコクリと頷いた。
それを確認すると、丁寧にラッピングを剥がしていく。
白い箱が現れ、開けるとまた中に黒いケースが入っていた。


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