P-009
自然と手に力がはいった。

だが、その力は優衣の手によってとかれた。

「杏珠、大丈夫だよ。あんまり気にしちゃダメ」

と、優しく言った。

杏珠は「そうだな」と返事をした。

が、やはり気になってしょうがなかった。

ありがとうという意味を込めて撫でた優衣の髪はやっぱりキシキシだった。
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