母の手帳
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「るんるんるーん♪」

合コンの帰り道。
みくの協力のおかげで柚木君とかなり仲良くなれたあたしはルンルンで家の玄関を開けた。

「ただいまぁ♪」

「…お帰りなさい。随分遅かったわね」

「ん、ちょっとねぇ♪」

「今日は早く帰るように言ってたでしょ?」

お母さんが困ったように笑う。
そう、この笑顔だ。
いつもあたしを許してくれる笑顔。


「えへ。ごめんねー」

ちっとも悪いと思ってないようなあたしの台詞にもお母さんは怒らない。


そんなお母さんに安心して家へ上がると、お母さんはエプロンから古びた赤い手帳を取り出し、サラサラと何かを書いた。

「いつも聞くけど、それなんなのー?」

お母さんはフフッと笑って手帳をエプロンのポケットにしまった。

「秘密よ」


昔からお母さんはあたしが悪い事をした時、失敗した時、テストで悪い点を取った時、決して怒りはしないけどその度にあの赤い古びた手帳に何かを書いていた。

あたしはそれがずっと気になっていたのだけど、いつも肌身離さず持っている為その中身はベールに隠されたままだった。
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