母の手帳
「もう遅いし何にもないからカップラーメンでいいかしら?」

「えー、あたしオムライス食べたーい」


ほらあたしの我が儘にもお母さんは笑って許してくれる。
また手帳を取りだしサラサラ書いていたのは気になったけど…いつものことだと考えるのを止めた。

「じゃあ、材料…コンビニで買ってくるから…待っててね?」

「ついでにアイス買って来てねー?」

「…ふふ。はいはい」



ちなみにあたしにパパはいない。
あたしが生まれた時にはもう離婚してたらしくて、女でひとつであたしを育ててくれた。

お母さんが帰ってくるまでにお風呂でも入ろうと思いリビングを出ると、玄関にエプロンが置いてあった。

無造作に置かれてあるエプロンをたたんでおいてあげようと拾ったその時ー。
バサリに鈍い音を立てて赤い古びた手帳が落ちた。


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