屋上
僕が教室へ戻っても、

始業式はまだ、

終わっていなかったようで、

誰もいなかった。

なんとなく、こういう瞬間が好きだ。

いつもは、人がたくさん、

たくさんいるところに、

この静けさの中、一人でいる、感覚。

僕の席は、ここか。

僕は机の中にあった、

薄い小説を取り出して、読み始めた。

一人。

時計の秒針が、カチ、カチと、

一歩、一秒ずつ、ゆっくりと未来へ進む。

ほら、未来が、足音を立て、やってきた。

ガラガラ、と、ドアの開く音。
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