チャット★ティチャー
俺の後ろ脚が場外の線の数ミリ手前のところにあった。

「場外に気をつけろ」

寺門にこの作戦を遂行するにあたり、散々言われたことだった。

恭介の攻撃をかわし続けなければならないが、故意に場外にでれば、反則をとられ、それが二回あれば一本になってしまうのが剣道だ。

「田中君、前だ!!」

足元を見つめていた俺は、寺門の声に前を向く。

恭介が次の攻撃にはいろうと踏み込んできていた。

狙いは面。

俺は力いっぱい前に踏み込んだ。

寸でのところ距離を詰め、つばぜり合いの形になった。

離れ際、必ず恭介は打ってくる。

確信に近い予感があった。

やはり力では敵わず、突き放された。

その瞬間に、恭介は俺の面めがけて、再び竹刀を振り下ろした。

体勢をくずしながらもなんとか身体を捻る。

俺の面を恭介の竹刀がかすめた。

一瞬ひやりとしたが、旗は上がらず、主審の小桜先生は浅いと判断した。

俺は無理に身体を捻った為、体勢を崩し、その場に倒れ込んだ。

「待て!!」

小桜先生から待ての合図がかかり、恭介が身をひいた。



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