チャット★ティチャー
開始線に戻り、恭介の顔を見ると恭介は笑っていた。

完全に恭介が優勢、おそらく余裕だと思ったのだろう。

だけどそれでいい。

なめてくれていれば隙ができる。

その隙を見逃さず、つくだけだ。

小桜先生が開始の合図をかけた。

合図とともに恭介は勢いよく竹刀を振りかぶった。

恭介の竹刀は俺の小手をかすめ、腕にあたった。

強烈な一撃に腕がしびれる。

恭介の激しい攻撃を俺はひたすらに防いだ。

恭介の一撃は重く、竹刀を握る手が段々としびれてきた。

俺と恭介の汗が飛び散る。

俺は飛び散った汗に足を滑らせた。

恭介は今だとばかりに俺の面に竹刀を振り下ろす。

俺は首をかたむけ、恭介の竹刀を肩で受けながらその場に尻もちをついた。

待ての合図がかかり、恭介は舌打ちをして開始線へと引き上げた。

俺が思った以上にしぶとく、少しずつイライラとしてきているようだ。

時計に目をやると、残り時間一分を切っていた。



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