チャット★ティチャー
更衣室で着替えていると、寺門が入ってきた。

「田中君、よくやったよ。」

「時間いっぱいの胴打ちが決まらなかった時はもうだめだと思ったけど、よくがんばったね。」

いつもながらさわやかな寺門。

「それにしても勝者の顔には見えないな、どうかしたかい？」

寺門は心配そうに俺の顔を覗き込んだ。

「なんだか、勝ってよかったのかなって。」

「ギャラリーが恭介を馬鹿にするような事言ってるのを聞いたら、なんだか・・・」

なぜだか寺門には本心から話せる。

最初はただの爽やかで親切な奴だとしか思っていなかったけれど、俺は今ではもう寺門を親友の様に思っていた。

「そっか、田中君は優しいな。」

「けど・・・」

「それは同情かい？」

「そうだとするなら、それは恭介君にとても失礼な事だと俺は思う。」

めずらしく寺門は真剣な表情で俺を見つめた。

「そっか、そうだよな。」

「胸張っていいんだよな。」

俺がそう言うと「うむ。」と大きく頷きながら、寺門は俺の背中をバシンと叩き、いつもの爽やかな笑顔を見せてくれた。



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