チャット★ティチャー
「田中君が最後に学校に来たあの日。」

「あの日、貼り出されてるのは朝登校して来た時点で私も気づいてた。」

「だけど、田中君が登校してきて、貼り出されてる手紙を見て、学校から飛び出して行って、その時になってやっと気づいた。」

「なんで自分が見つけて、すぐに剥がしてしまわなかったんだろうって。」

「少し考えれば、田中君が見たら傷つくってわかったのに。」

「ううん・・・わかってた。」

「わかってたのに、剥がさなかったんだ。」

「クラス委員を決める時と一緒。」

「みんなに嫌われるのが怖かったから。」

喋り続ける、咲美の声が少しずつ、涙ぐんできているのがわかった。

俺はただ静かに流れる河を見ながら、咲美の話を聞いていた。

その頃には、走って切れていた呼吸も落ちついていた。

咲美はさらに続けた。




< 152 / 200 >

この作品をシェア

pagetop