秋桜が散る前に
優香は気まずそうにごめんね。と小さく謝った。
私は呆然としながらもいいよと答える。
いつまでも奏太くんに固執してちゃいけない。
それは自覚していたし、奏太くんの事をいつまでも引きずっていたら、お母さんが心配する。
「ホントにごめんね!だけどどうしても人数減らす訳にはいかなくて…」
「いいよ。大丈夫。私も新しい恋とかしたいし。奏太くんとは実際付き合っていた訳でもないし。」
優香は、そう?なら…いいけど…。と歯切れ悪くそう言った。
新しい恋をする。もう決心はついている。
奏太くんへの想いは、コスモスの花と、奏太くんの命と一緒に、散ってしまったのだ。
もう叶うはずのない想いを持っているのは、辛い…
「あっ、いたいた!藤子(トウコ)ー!咲夢も連れて来たよー!」
もう皆集合場所にいた。私達が最後らしい。
男の子達も来ている。
その中に、ほかの男の子とつるまずに1人柱に寄り掛かっている人がいた。
懐かしい雰囲気。
奏太くんも外ではあんな感じだった。
奏太くんと同じ…?
彼が私に気付く。
驚いたのか、困惑したのか分からない顔だが、柱から身体を放して私を見た。
「なに?咲夢、もしかして知り合い!?」
優香のあせった声が聞こえてたけど、彼から目が逸らせない。
ダークブラウンの髪、
端整な顔、
なにより、その雰囲気。
「サクラ…さん?」
こうして私は、また穂高 秋くんと再会した。