秋桜が散る前に
「咲夢ー?どうする?」
う、歌わなきゃいけないのかな…
うぅ…
「じゃあ、えーと…」
私は『童謡』のジャンルから必死にめぼしい曲を見繕う。
賛美歌はたまに童謡に混じって入っている事がある。
うーん、やっぱ無いかなぁ…『賜物』
「咲夢まだー?もう皆回っちゃうよー?」
「あ、あった!今入れるね!」
ギリギリセーフ。
ん…?ちょっと待って。
合コンで賛美歌って…!!
そう思ったはいいが時すでに遅し。
私はすでにマイク持って前に立っていたし、前奏も始まってるしタイトルも画面に出た。
男子4人(秋くんは除外)と女子3人(優香とカラオケに行く時、たまに歌うから優香は除外)の好奇の目にさらされる。
「なに?『君の賜物』って?」
「童謡?」
「ピュアっぽい〜」
うわーん。
もうやけくそだ。
「…―きみのたまものと
わかいちからを
かみのみなのため
きよくもちいよ
みこはさきだちて
すすみゆかれる
ともよいさみたち
みこにつづけよ
きみのたまものと
わかいちからを
かみのみなのため
きよくもちいよ……―」