秋桜が散る前に
ほぼやけくそぎみにいつものように歌った。
歌ううちに、心地よくなる。
でもそれはつかの間で…―
「…アーメン…―」
歌い終って皆を見ると、呆然としている。誰も次の曲を入れてない。
うー、やっぱ引かれたかな…当たり前だけど。
まぁいっか。
私、数合わせだし…
後で優香に謝んなきゃ。
「すっげー…サクラちゃん歌超上手いじゃん!プロみてぇ!」
「他のやつは?なんかまだねぇの?」
「秋知ってたのか?」
「うん。まぁ。」
な、なんか男の子が食いついて来た…!
数合わせだから目立っちゃっだめなのに!
ていうか目立ちたくないのに!
「そう言えば、咲夢教会通ってるもんねー?」
藤子がチクリとトゲのある言い方をする。
「そーそー。牧師とかの説教聴いたりしてんでしょ?なんてーの?あ、キリシタン?」
「古いー。クリスチャンでしょ?」
ヤバい。
他の子が同調してきた。
藤子は美人で、自分が綺麗なことをよく知っている。
彼氏もじゃんじゃん変える。
自分より目立つ子は嫌いだし、今日来ている3人は藤子のおこぼれを貰う取り巻きだ。
藤子の言う事にはたいていしたがう。