秋桜が散る前に



ほぼやけくそぎみにいつものように歌った。



歌ううちに、心地よくなる。


でもそれはつかの間で…―




「…アーメン…―」




歌い終って皆を見ると、呆然としている。誰も次の曲を入れてない。



うー、やっぱ引かれたかな…当たり前だけど。


まぁいっか。


私、数合わせだし…

後で優香に謝んなきゃ。



「すっげー…サクラちゃん歌超上手いじゃん!プロみてぇ!」


「他のやつは?なんかまだねぇの?」


「秋知ってたのか?」


「うん。まぁ。」




な、なんか男の子が食いついて来た…!


数合わせだから目立っちゃっだめなのに!


ていうか目立ちたくないのに!




「そう言えば、咲夢教会通ってるもんねー?」




藤子がチクリとトゲのある言い方をする。




「そーそー。牧師とかの説教聴いたりしてんでしょ?なんてーの?あ、キリシタン?」


「古いー。クリスチャンでしょ?」




ヤバい。


他の子が同調してきた。

藤子は美人で、自分が綺麗なことをよく知っている。


彼氏もじゃんじゃん変える。


自分より目立つ子は嫌いだし、今日来ている3人は藤子のおこぼれを貰う取り巻きだ。


藤子の言う事にはたいていしたがう。








< 16 / 65 >

この作品をシェア

pagetop