秋桜が散る前に




「秋くん、何か飲まないの〜?」




藤子はかなり本気で秋くんをオトそうとしている。


甘い声に甘い香り。


歯が浮きそうだ。



あれから部屋に戻って席替えをした。


私はもう1人の穂高くんのお隣りだ。




「サクラちゃん、奏太の妹…なんだよね?」


「血は繋がってませんけど、まぁ、そうです…」



穂高 空くん(秋くんと同じ様に空でいいと言われた。)はまたしても奏太くんと友達だと言った。


凄い奏太くん。


ダブル穂高くんとお友達だったんだ…



同じ穂高くんでも空くんは秋くんみたいに奏太くんそっくりってわけじゃなくて、まるで正反対な人だった。




「やっぱり!?成瀬川って聞いて、そうかと思ってたんだ!奏太いつもサクラちゃんの話しててさー…」




空くんは満面の笑みを浮かべて奏太くんのことを喋っている。



だけどその顔は…



14歳ぐらの女の子にしか見えない。



空くんは童顔だった。…まぁ、可愛いんだけど、可愛すぎて、男の子に見えない。


それでも空くんは皆の中心にいた。


空くんが喋ると皆が笑う。



奏太くんとは別の意味で、空くんは心地いいひとだ…………





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