秋桜が散る前に
シンッと静まり返った。
私はこのすきに早くミルクを作ろうと歌いながら働く。
「―…乙女マリア母として
生まれまししみどりごは
まことの神きみのきみ
急ぎゆきて拝まずや
急ぎゆきて拝まずや…―
よし出来たっ!」
私はできたミルクを持って部屋に駆け込んだ。
七瀬を抱いて、ミルクを飲ませる。
はー…疲れた…
「咲夢さん、すごいな。歌で子供達を泣きやませるなんて。」
「いや…まぁ、偶然だよ。」
「さっきの賛美歌は?なんて言うの?聞いた事ある…」
「あー、そっか。よく街中に流れてるよね。さっきのは、1篇111番の歌で…私は『かみのみこは』って呼んでる。」
よくクリスマスにかかっている。季節外れだけど、曲調が子供達を落ち着かせるのにちょうどよかったから、歌った。
こくこくと勢いよくミルクを飲んだ七瀬は、やがておなかいっぱいになったのか、哺乳瓶を口から離した。
ゲップをさせて、またベビーベッドに寝かせる。
まったく、呑気な寝顔だ。人の苦労も知らないで。
グゥゥゥゥゥ…