秋桜が散る前に



誰かのおなかが鳴った。



「この音は…一馬かな?」


「違うよっ!早和ちゃんだよ!」


「早和じゃないもん!カズでしょ!」




言い訳するあたり、一馬の音だろう。


時計はちょうど12時半をさしている。




「お昼ご飯にしよっか。」




七瀬も落ち着いたし、一馬と早和は秋くんが見てくれるだろう。




「ごめんね、秋くん。私昼ご飯作るから、一馬と早和、お願い出来る?」


「えっ、あ、いい。大丈夫。」


「秋くん?」




なんていうか、歯切れの悪い返事。


変なの。




「じゃ、お願いね?」


「あぁ。でも…」


「何?」




秋くんは言いにくそうに目を逸らす。


顔も赤い。



なんだろう…?




「その、スカート。丈をのばすか、ズボンとか中にはいといた方がいいと思う。」




聞いた瞬間、私は耳まで赤くなるのを感じた。意味がないとわかりつつもスカートを押さえて無理矢理引っ張る。




「み、見たの!?」


「いや、その…チラッと…ね。」




私は固まってしまった。


早和に、サク姉かおまっかー。たこさんみたいー。と言われても、私は動けなかった。




し、秋くんに…




下着見られたっ…!!!






< 30 / 65 >

この作品をシェア

pagetop