秋桜が散る前に
奏太、お前偉大だよ…
咲夢さんは寒いのか、身体をさすっていることに気がついた。
「毛布…もう一組ないかな…」
たしか、咲夢さんがクローゼットから引っ張り出して来たんだっけ。
俺は立ち上がろうとした。
だけど、何かにエプロンをつかまれて立ち上がれない。
「さ、咲夢さん…?」
掴んでいたのは、咲夢さんだった。
待て待て待て待て。
やばい。
これは本格的にやばい。
可愛すぎる…
合コンの時も思ったけど、咲夢さんは自分が他人(特に男)にどう見えているのかまるで自覚していないようだ。
あの合コンの後、俺に咲夢さんのメアドを教えろと4人全員から電話がかかってきた。(もちろん教えなかった。てか俺も知らない…)
物凄い美人って訳じゃないけど、華のある顔立ちをしている。
賛美歌を歌い、まったく汚れを知らない、聖母さま。
少なくともあの4人はそういう印象を受けたらしい。