秋桜が散る前に

大丈夫



恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!


秋くんの目の前で寝ちゃったなんて!



私と秋くんは早和たちを『ガブリエル』に送るために歩いていた。


七瀬を背負って一馬と早和と手を繋いでいる女子高校生はやっぱ奇妙らしく、道行く人にじろじろ見られる。


私は沢山の人の視線に頭がカァっとしちゃって、赤面しながら下を向いた。



もうっ、今日は厄日ね。秋くんには寝顔見られるし、恥ずかしいし…



おまけに、私は早和の右手を繋いでいるけど、秋くんは左手を繋いでいる。


早和本人は嬉しそうにスキップしているけれど、5歳の早和の身体は余りにも小さくて、私達はお互いに触れるか触れないかの距離を保たなくてはいけなかった。



正直、気まずい。




「咲夢さんは、今も奏太が好きなのか?」


「えっ!?な、何急に…」


「いや、なんでも、ない…」




秋くんは歯切れ悪くそう言うと、黙ってしまった。




「サク姉はね、奏兄のこと大好きなんだよっ!」



と、話を聞いていたらしい早和が得意げな顔をして秋くんにそう言った。


おいこら、余計な事言わないでよ早和~!







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