秋桜が散る前に
大丈夫。前を向いて、生きていける。
私と奏太くんは、両思いだった。
結果は悲しいけれど、罪悪感や嫌悪感がないといえば嘘になるけど、少しずつ、奏太くんを思い出にしていける。
過去として見ていける。
せっかくの伝言、無駄にはしないよ。
「私、バイトの時間なんで、失礼します!」
「大丈夫…?」
「はい。大丈夫です。」
私はカバンを肩に掛けなおして、ゆっくり歩き出した。
明日から、違う賛美歌も歌ってみよう。
ちゃんと奏太くんのこと、お兄ちゃんって、言えるようにしよう。
秋くんに、お礼しなくちゃ。
大丈夫。
きっと、大丈夫。
私は、幸せだったから。
奏太くんと恋できたこと、幸せだったから。
これから、何があっても……――――