秋桜が散る前に


秋くんとの時間はあっという間にすぎて、私たちはあたしのバイト先で別れた。


いつもいつも、秋くんは自分の家と反対方向の私のバイト先まで送ってくれる。


最初は戸惑ったけど、私は秋くんと話すのが好きだし…断る理由もなかった。


それに、秋くんは他の人とは違う、何かを持っていた。


なんていうか、



私を落ち着かせる、何かを、秋くんは持っていた。




「こんにちは。今日もよろしくお願いします!!」


「よろしくお願いしますー。」




私はロッカーに入って、今日一緒に仕事をする人に挨拶をした。




「見たわよサクラちゃん。さっきの、彼氏?若いわね~。」


「違いますよ。お兄ちゃんの、お友達です。」




一緒に仕事をしている46歳主婦の稲森 千恵子(イナモリ チエコ)さんと…




「サクラちゃん、煮物が余ったんだ。持ってくかい?」


「わぁ、ホントですか?ありがとうございます。」




64歳の一人暮らしをしていて、よく余りものをくれる中村 早紀(ナカムラ サキ)さん。



この2人と私は、いつもこの時間のシフトに入っているから、いつも一緒に仕事している。



奏太くんのときも、私はこの2人にけっこう支えられた。


年は離れているけれど、とてもいい友達みたいな人達だ。





< 51 / 65 >

この作品をシェア

pagetop