秋桜が散る前に
秋くんとの時間はあっという間にすぎて、私たちはあたしのバイト先で別れた。
いつもいつも、秋くんは自分の家と反対方向の私のバイト先まで送ってくれる。
最初は戸惑ったけど、私は秋くんと話すのが好きだし…断る理由もなかった。
それに、秋くんは他の人とは違う、何かを持っていた。
なんていうか、
私を落ち着かせる、何かを、秋くんは持っていた。
「こんにちは。今日もよろしくお願いします!!」
「よろしくお願いしますー。」
私はロッカーに入って、今日一緒に仕事をする人に挨拶をした。
「見たわよサクラちゃん。さっきの、彼氏?若いわね~。」
「違いますよ。お兄ちゃんの、お友達です。」
一緒に仕事をしている46歳主婦の稲森 千恵子(イナモリ チエコ)さんと…
「サクラちゃん、煮物が余ったんだ。持ってくかい?」
「わぁ、ホントですか?ありがとうございます。」
64歳の一人暮らしをしていて、よく余りものをくれる中村 早紀(ナカムラ サキ)さん。
この2人と私は、いつもこの時間のシフトに入っているから、いつも一緒に仕事している。
奏太くんのときも、私はこの2人にけっこう支えられた。
年は離れているけれど、とてもいい友達みたいな人達だ。