秋桜が散る前に
私のバイトはいわゆるビルの清掃というもの。
モップで床ふいたり…ゴミ捨てたり…
まぁ、普通の仕事。
「サクラちゃん、そっち終わったら、ゴミ捨ててきてくれる?」
「あ、はい。」
これで時給900円だから、かなり稼げる。いいバイトだ。
私はゴミ袋を3つ持って収集所へ向かう。
ときどきすれ違うリーマンとかに不審な目をされるが、もう慣れた。
まぁびっくりもするだろうけど。
女子高生が掃除のオバチャンなんてやってたら。
「ふぅっ、おっもー…」
さすがに3つはまずったか。
階段の途中で息切れしてしまった私はいったん荷物を踊り場に置いた。
現在夜の8時。
あと1時間、つまり、9時までが私のシフトだ。
そう思って気合いを入れ直すと、もう一度荷物を持ち上げる。
「よいしょっ…と、わぁ!?」
私は思わず悲鳴をあげた。なにせ荷物が急に軽くなって、拍子抜けしたからだ。
なになにっ?!誰!?
混乱してバタバタしているあたしの後ろから、声がした。
「女の子がこんなに持てるわけないでしょ。」