愛 理~airi~
「大和…、ゆっくり休め」
「そうよ。何も考えちゃダメよ」
そう言ってくれた両親に事件の経緯を説明をする為か、静かに部屋をあとにした菊池。
パタン、と柔らかな音を立て閉まった部屋には、咽び泣く彼女と大人しい亜実ちゃん。
「・・・ごめん」
「っ、だから…、ど、して…謝るの…?」
ベッドに顔を伏せながら、辛そうな声を上げる真咲にチクリまた心が痛む。
「――真咲と亜実ちゃんを傷つけたから」
「う、うん…ちがっ」
「違わないよ。怖がらせてゴメンな…」
「うぅ…、こわかっ、た…ぁ」
そう素直な言葉を口にして、ようやく顔を上げてくれた真咲は悲痛な表情で。
自分の命が危ういと知らされた時、どれほど大切な人を傷つけただろう。
特に2人はお母さんと、別れの言葉すら言えずに旅立ってしまったのだから。