愛 理~airi~



「大和…、ゆっくり休め」


「そうよ。何も考えちゃダメよ」


そう言ってくれた両親に事件の経緯を説明をする為か、静かに部屋をあとにした菊池。



パタン、と柔らかな音を立て閉まった部屋には、咽び泣く彼女と大人しい亜実ちゃん。



「・・・ごめん」


「っ、だから…、ど、して…謝るの…?」


ベッドに顔を伏せながら、辛そうな声を上げる真咲にチクリまた心が痛む。



「――真咲と亜実ちゃんを傷つけたから」


「う、うん…ちがっ」


「違わないよ。怖がらせてゴメンな…」


「うぅ…、こわかっ、た…ぁ」


そう素直な言葉を口にして、ようやく顔を上げてくれた真咲は悲痛な表情で。



自分の命が危ういと知らされた時、どれほど大切な人を傷つけただろう。



特に2人はお母さんと、別れの言葉すら言えずに旅立ってしまったのだから。



< 103 / 122 >

この作品をシェア

pagetop