愛 理~airi~
俺が異国で刺されたと一報が入れば、きっとこんな生ぬるい痛みでは無かった筈だ。
よく分からない情報だけが入って、よけいに心細さを助長させたに違いない。
ああ、もう俺の命は自分だけの物ではないんだ――…
「…亜実ちゃん、真咲。お願いだから、ここへ来て?」
「ん、はい…」
「ありがとう」
コクンと頷いて立ち上がってくれた真咲と、ようやく笑顔を見せた亜実ちゃん。
ズキズキと走っていた痛みも、この2人に会えたお陰で和らいでいくようだ。
「大和くん、だいじょうぶ?」
「うん、すぐに元気になるからね」
「よかったぁ。亜実もげんきでいるからね!」
「…ありがとう」
刺された時の痛みより、麻酔が切れたあとの痛みより、はるかに苦しい。
ここに守るモノがあるから、自分の命がなおさら惜しいと思えてしまう。