愛 理~airi~
間違いなく昨日から泣いていたであろう、腫れあがった瞼に真っ赤な瞳。
機内でも眠れなかったと思われるクマが、白い肌にはっきり浮き出ている。
「っ、ダメ…!」
「いいよ――」
会話をするのにわずらなしい酸素マスクを外し、その頬へと手で触れれば。
また大きな瞳からは涙が零れ出して、止め処なくポロポロ溢れていく。
「ごめ…、安心して…っ」
「…もう泣いて良いよ。
飛行機に乗らせてゴメンな…、大丈夫だった?」
その問いかけにウンウンと小さく首を縦に振り、口元を少し緩めてくれた真咲。
「ふふ…っ、泣きすぎて…赤ちゃん…あきれてる、かも…っ」
「ごめん」
何も分からない俺には、まだ初期段階での飛行機が良いのか知らないが。
ただでさえ長旅となるフライトは、俺たちでも疲れてしまうのも事実だ。
「謝らな…いで――知ってるでしょ?わたし、タフだもん…」
「強がり、がつくけど」
「もぉ…ち、違うもん…!」
何よりもまず守ると誓った子を、1人で苦しませた事に申し訳なさが募るけど。
片手だけでは拭いきれない涙を掬いながら、その切なげな表情に笑いかけた俺。