愛 理~airi~
ちなみにメアリーは、義理の父親とのトラブルが発端で“そう状態”だったらしい。
身柄を拘束されてからの彼女は、医師の診断のもと精神科へ入院していたようだ。
帰国してから上手くいかない日々の中、再会した幸せそうな俺が許せなかったのか。
それは何とも分からないけど…、俺の判断で一切の告訴を取り下げてしまった。
精神病棟で精気を失い、ぼんやり過ごすメアリーを訴追する事など考えられず。
人のはびこる街中でのアノ強行も、彼女のヘルプ信号にすら感じられたからだ。
許す・許さないの次元ではなく、何よりメアリーは苦労を共にした友人だし。
結局は会うことなく帰国の途に着いたが、ソレもまた最善の策だったと思いたい。
それはメアリーからの手紙を届けてくれたり、様子を教えてくれたヤツのお陰であり。
これこそが事件を知って、誰よりも先にメアリーの元へ駆けつけた日野だ――…
「日野さんの愛で、メアリーさんの心も落ち着くよ。
ほら。私が大和と出会えた事で、幸せになれたようにね?」
あの合コン三昧だった日野が一転し、心の病と闘うメアリーに献身的となった。